2017年01月12日

一般質問その3(防災・減災マネ)

名古屋でのセミナーを受けての3問目です。

3.防災・減災マネジメントについて

「人命を守る」ためには、すべての防災対策を人命の観点から総点検し、減災
目標を設定して、これが最大になる対策を選択して集中的に投資する「防災・
減災マネジメント」が求められる。
地域住民の防災力向上のため、今後は防災・減災マネジメントを実施する必要
があるとは思うが、当局の考えを聞きたい。


●質問1

最後に防災・減災マネジメントについてお聞きいたします。

災害対策基本法では東日本大震災後、2012年及び2013年の2度、大幅な改正が
行われ、大災害時には国、都道府県、応援自治体、関係団体、支援者たちとともに
災害対応にあたるように理念展開がされています。
しかし、この転換は現状ではほとんど浸透しておらず、被災した基礎自治体が第一
義的に対応する基礎構造は変わっておりません。
10月に名古屋で跡見学園女子大学観光コミュニティ学部教授で、元板橋区の危機
管理担当部長、議会事務局長もされました鍵屋一先生のセミナーを受講してきました。
内閣府「災害時要援護者の避難支援に関する検討会委員」や、自治体の防災・危機
管理のしくみ等の本を書いている、防災・減災の第一人者であります。
公益社団法人土木学会では、東日本大震災後2012年12月に地域防災計画の課題
の分析を行い、地域防災計画のあるべき姿、実現方策を報告しています。

その中で地域防災計画では
・被害抑制  ・被害軽減  ・応急対応  ・復旧復興  ・防災・減災マネジメント

が重要で、特に防災減災マネジメントとしては、減災目標の設定と達成に向けたマネ
ジメント・サイクルが導入されていない事、いま言った項目はどれも重要でありますが、
順番としては、地域防災に関する戦略やマネジメント方策を明示し、これに基づいて
個別対策を作成するべきである、話されていました。
全体の中長期的な目標と方針、また具体的な達成目標を掲げた上で、目標達成の上
でやらねばならないこと、困難なことを列挙し、優先順位を付けた上で達成までの大ま
かなスケジュールの全体像を、時系列で表現するロードマップのようなものを示してか
ら、各論の具体策を充実させることが重要であるという考え方であります。
地域防災結核の中心的は目的は言うまでもなく「人命を守る」ことであります。
それゆえ基礎自治体には「人命を守る」ために、すべての防災対策を人命の観点から
総点検し、減災目標を設定して、これが最大になるよう対策を選択して集中的に投資
する「防災・減災マネジメント」が求められています。

本市でも地域住民の防災力向上のため、目標設定と達成方式を明示した「防災・減災
マネジメント」を実施する必要があるとは思いますが、どうでしょうか?質問致します。

●答弁1(岩本総務部長)

防災・減災マネジメントの定義につきましては、今しがた浜口議員より御紹介がありま
したが、大きく分けますと被害抑止、被害軽減、応急対策、復旧・復興の四つのサイク
ルに種別することができ、その中の被害抑止及び軽減につきましては、住宅の耐震化
率の向上や日ごろからの防災体制の整備、防災訓練及び教育などが重要であると言
われており、三豊市におきましては、三豊市耐震改修促進計画に基づき、既存建設物
の耐震改修を促進することによって、災害発生時の被害軽減を図ることにしております。

また、各地区の自主防災組織の組織化率についても、目標数字を掲げた上で対応を
図っております。

応急対応につきましては、人命救助や地域の最低限の機能回復を主目的とした活動
であると言われており、これまで発災時の市職員の人員配置が策定されておらず、主
に水防対策での人員配置を行っておりましたが、今回、応急期人員配置計画を策定
いたします。
復旧・復興につきましては、被災前の状態まで戻すことでありますが、次の被災を防ぐ
ための改良が加わることによりまして、次の災害に対しての抑止力が高まることになり
ます。

幸いにも、三豊市におきましては、近年大規模災害を経験しておらずに、復旧作業は
行っておりませんが、時代の先行きを見据えた創造的復旧に取り組む必要があると
思いますので、鋭意研究をいたしまして、次の大災害への備えといたしまして、計画
策定への準備を図っていく所存でございます。

三豊市といたしましては、この四つのサイクルを適時モニタリングしながら、施策の
調整、変更を行い、マネジメントを行ってまいります。

●質問2

防災・減災マネジメントの問題としては、第1に住民参加がなく、行政職員のみによっ
て多くの計画が立てられていることにあるとお話をされていました。
実際、防災対策は、結局は住民一人ひとりの自覚と準備、企業などを含めた社会全
体の協力に負うところが大きく、そこで住民誰もが理解できる完結明瞭な地域防災に
関する戦略を明示して、防災・減災マネジメントを実施することにより、目標や手段の
共有化と共同が可能になり、さらに可能であれば条例化することもよいという考えが
あります。

東京都板橋区は、中長期的に防災・減災マネジメントを実現する手段として、2002年
3月、全21条からなる簡潔な防災基本条例を制定しています。
板橋区の防災基本条例は、住民参加の議論を通じて、自立と助け合いの精神を尊重
することにより、全ての人が安全に暮らすことができるように努めること、豊かな地域
活動を育む、防災に関する知識・技術を取得し、行動力を高め、また助け合いの精神
を育むことより、これらを日常生活の中に生かし、災害時に備えるとともに、後の世代
にこれらを継承していくよう努めることを基本理念としています。

具体的な条例の内容は、この基本理念を踏まえて策定されてはいますが、条例の中
核となる重点的施策の方向性は、防災ひとづくり、防災まちづくり、要援護者への配慮
の3点であります。
防災ひとづくりでは、防災教育、人材育成、啓発、災害危機危険情報の提供、地域総
合ネットワーク、この中で特に私が感心したのは、区立の全中学生の普通救命の講習
を行っておりました。

また、防災まちづくりでは、防災まちづくり計画と事業の推進、多数利用施設の耐震化
指導・助言・勧告・公表、ブロック塀、コンテナ、落下危険物などの安全指導で、耐震改
修促進法の上乗せにより、住宅の耐震化の推進をしておりました。
要援護者の配慮という点では、要援護者に配慮した施策を策定し、体制を整備する義
務という点があり、いろいろ言いましたけども、最も大切なことというのは御近所力であ
りまして、地区の防災計画もあるんですが、近い、助けるという「近助」を強化するという
ことを主目的にしています。
近助が強くなれば自助も新たな公助も強くなるという考え方であります。

これからの防災は、損失を減らす防災から魅力増進型の防災へと変わり、日常から人
や地域の魅力づくりを進めながら、災害時にも安全安心な取り組みができるとお話を
されておりました。
私も本当にそのとおりだと思いました。
過去2011年の週刊ダイヤモンドによれば、板橋区は東京23区で最も安全安心な都市
と評価されています。
それゆえ防災基本条例も将来的に検討すべき時期であるとも思いますが、どうでしょうか。
再質問をいたします。

●答弁2(岩本総務部長)

防災基本条例を制定してはどうかというような御意見でございます。
この防災基本条例につきましては、防災対策基本条例とか、いろいろな名前がついて
おりますけれども、これにつきましては、全ての都道府県が持っております災害対策
基本法、これに基づきまして、各県また市がそれぞれ基本条例をつくっておるところが
かなりふえております。
 
その中で、今、浜口議員が御紹介がありました板橋もそうなんですが、これでは減災の
国民運動の検討が始まりました平成18年、ここから各県、主には県なんですが、防災
対策基本条例、また防災対策推進条例というような形での条例の策定がかなり進んで
おりまして、県なんかにおきましては、おおむね多分40%を超えておるんではないかな
と思います。

かくいう香川県におきましても、平成18年に、たしか防災対策基本条例、これが制定を
されておりまして、これは県民をカバーする、また事業所をカバーする、その中に当然、
市町についても連携、市町の役割というものもこれは網羅されている形になっております。

ただ、これが県の条例があるがために、県としては法的なバックアップがあると、法的な
義務規定があると。ところが市町はうたわれていますが、県の条例があるために努力
義務という定義になってございます。
確かに議員がおっしゃるとおり、やはり我々も基本計画は持っています。
三豊市の地域防災計画を持っておりまして、この防災計画の中でいろいろな取り組みは
やっておりますけれども、やはり法的な裏づけというものがないと、やっぱりなかなか進
んでいかないというのは確かに事実だと思います。

ですから、我々といたしましても、これは県の基本条例がある、その中での一構成の中
の市といたしまして、特に我々は広域消防という広域的な消防施設を持っておりますの
で、やはり近隣の市町、そういったところとある程度協調したような形で考えていく必要
があるのではないかなというふうに考えておりますので、どちらにいたしましても、こうい
った形で災害に取り組む上では非常に必要なものだという認識はございますので、十分
研究していきたいと思います。

●質問3

大変よくわかりましたが、現在の地域防災計画は縦割りの防災関係機関が作成した
計画や各部局が作成した耐震化の推進計画、災害時要援護者避難支援計画、初動
対応計画などを転記したものにとどまっているようであります。
そうなると、施策の達成状況については防災関係機関や部局の範囲にとどまり、達成
されなくても責任を問われることはありません。

防災・減災戦略というのは、目標とか施策体系を絶えず評価、見直し、生きた戦略と
する作業が必要であります。
これには防災対策の創発、防災スペシャリスト職員の育成、地域全体の情報共有化
と連携による防災の自治化が課題となります。

最後になりますが、熊本地震のときに益城町、ここでは町職員の不足、多くの職員が
避難所に張りつき、対策本部が弱体化、町も応援職員もマネジメント不足が指摘され
ました。
特に職員のノウハウ不足が大変指摘されておりましたが、対して、熊本県の西原村と
いうところの復興、こちらはとても早かったそうです。
これは東松島市と協定があり、被災経験のある幹部職員の支援力と被災自治体の
受援力によるもので、東日本大震災での東松島市での復旧が早い段階で行われ、
その成果が他の自治体と連携して基礎自治体を救うことにつながっていました。

災害対策ノウハウは、組織ではなく人にあります。人数よりもノウハウのある人材が
最後はマネジメントを担う体制づくりというのが必要であります。
そのために専門性の高い防災スペシャリスト職員を計画的に育成して、訓練を重ね
てレベルアップしていかなければならないという点を私は学びました。

自主防災組織でも、近年活動のマンネリ化が非常に指摘されておりますが、本当に
やる気のある人、例えば元自衛隊員や元消防職員などをリーダーに選任して、うま
く機能している自主防災組織もふえております。
このあたり、被災自治体との連携や職員の人員力の強化、防災スペシャリスト職員
の育成については、どうお考えでしょうか。再質問をさせていただきます。

●答弁3(岩本総務部長)

非常にノウハウを持った人材、防災スペシャリストの育成というお尋ねでございますが、
これにつきましては、既に防災スペシャリストの育成ということで、現在、危機管理課
のほうに配置をしております防災指導員、これを防災スペシャリスト育成講座、これは
内閣府のほうで今カリキュラムを組んでおりますが、こちらのほうに既にもう入って
おります。

たしか第2クールがあると思いますので、最初の第1クールは終了しておりますが、
あと後半の残りの第2クール、これを受講するようになっておりますので、今年度中
には資格が取得できるという予定になっております。
その後、このスペシャリストを中心に、いろいろな形での取り組みを中心的に活動して
いきたいというふうに考えておりますので、御理解いただきたいと思います。



以上が3問目でした。

「政務活動費」を利用して名古屋で勉強させていただいた「防災・減災マネジメント」

について質問させていただきました。

これ、非常に奥が深くて南海トラフ地震に備え、とても重要な点を多く学びましたが、

今後も継続して勉強していきたいと思っています。(難易度も少し高いです)

一般質問の御意見・御感想もお寄せください。

hama2103_3104@yahoo.co.jp



  


Posted by はまぐちふどうさん at 07:01Comments(0)一般質問