2017年08月21日

東京で「医療・介護を考える」

7月24日(月)に、会派「清風会」+有志1名と一緒に東京飛行機へ。

日曜日に前泊し、伊関友伸先生のセミナーを受講して来ました。

8月7日には三豊市へもお越し下さり、セミナーをしていただきましたけど、今回は

ローコスト病院建築について学びたかったので、私が会派内でのお声がけを

させていただきました。

もちろん伊関先生とも名刺交換と、お話しが出来まして、ためになる良いセミナー

でした!


東京で「医療・介護を考える」



地域消滅時代における
「医療・介護を考える」

地域を消滅させないために何が必要か
ー接続可能な医療、介護

TKP東京駅八重洲カンファレンスセンター

講師 伊関友伸氏(城西大学経営学部教授)

7月24日(月)

10:00~12:30
●地域消滅の時代における医療・介護を考える
・地域そして日本が消滅する!人口減少時代の真の意味
・医師・看護師・介護士等不足の原因は何か
・少子化を防ぐ、「産業」としての医療・介護
・自治体における医療・介護の命運を握る「人材育成」の重要性
・地域消滅の時代に向けた地方議会議員の役割


人口減少社会における持続可能は医療・介護を考えるというテーマでした。
本格的少子高齢化社会の到来で、地方では人口の急減による自治体の消滅
が危惧されています。
全国的、爆発的な高齢者の増加に対し、絶対的に医師・看護師・介護士などの
マンパワーや入院病床・介護施設などの医療・介護資源が不足することが予想
されます。(財源の不足も)
日本が消滅する?も考えれば、合計特殊出生率を上げる事が必要である。
合計特殊出生率は2005年の1.26から2013年の1.43までやや回復するも、出生率
は減少傾向であり、このまま推移すれば若い世代の人口が傾向的に減少していく
ことは確実である。2008年に1億2808万人いた日本の人口が2110には4286万人
になり、将来的に日本が消滅する可能性がある。
(このために国会議員は何をしているのか?といつも思いますが)
日本の合計特殊出生率が低い理由として
①非正規雇用など若年層の雇用不安
②女性の晩婚化と出生数の減少
③若年層の東京圏への移住傾向
が考えられる。
また医師不足問題として、地方の病院・中小病院を中心に医師不足は相変わらず
深刻な状況(これは地方の民間病院も同じ、公立病院無くして民間病院へ、という
考えには、私は賛同できません)
医師不足の原因として
・少ない医師数
・医療の高度・専門化
・インフォームドコンセント、医療安全
・女性医師の増加
・劣悪な労働環境
・新臨床研修制度、医局制度の崩壊
・国民の医療への不理解
・健康について不勉強な患者の存在
・患者のコンビニ医療指向 などがある。
また看護師や介護士も不足する、そのため地域の「産業」としての病院や福祉
施設が必要である。
・高齢者が進む地方において病院や福祉施設は数少ない将来を見込める
「産業」である。
・産業振興の観点で病院や福祉施設を考えるべき
また、条件の悪い地方の病院こそ医師・看護師を始めとする医療者の研修
機能を充実させ、医療者を集める病院にしなければならない。
逆に研修力のない病院には若手医師は勤務しない。
研修を充実させることで医師数を増やした病院として、京都府福知山市民病院
がある。また地域枠の医師・医学生の研修受け入れ、若い医療者が勤務する
ためのアピール戦略が必要である。
地域自治体上院の存続の危機の時代に地方議会議員の果たすべき役割は
大きい。医療や病院経営についてきちんと勉強した上で、発言をする議員も
いるものの、勘違いした議員の暴挙でかえって自治体病院をおかしくする
ケースもある。(三豊市からの市議のセミナー参加を褒めていただきました!)
健全な外圧と暴言の違い
・医療や病院経営についての確かな知識を持って発言することが重要
・擬態的なデータを元に発言すること
・医療や病院経営の専門家のアドバイスを受けて、判断や発言することが重要
・思い込みで発言することは、かえって問題を悪くすることになる
・それを人は暴言と呼ぶ
地域医療・介護の再生は民主主義の再生につながる
・自分たちの健康に関することゆえに、きちんとした情報提供と住民の間の
 議論があれば、人々は節度ある行動をする可能性がある。
・それは地域の民主主義の再生にもつながる

午前中の講義、いろいろ考えさせられる濃い内容のセミナーでした。


皆で近くの八重洲地下街で昼食後


14:00~16:30
●こうすればできる!
  ローコストの病院建築のコツ
・地域医療を崩壊に導く高コスト病院建築
・なぜ、自治体病院の建築コストは高いのか
・どのようにして250床で70.6億円の病院建築を実現させたか
・ローコスト・高価値の病院建築で持続可能な病院経営を実現
・高コストの病院建築に対して地方議会議員はどうチエックすべきか


新しくて大きな病院を建築すれば、医師は集まってくる、という考えは正しいか?
これは間違いで、その時代に合った病院にする必要がある。
現在は、コンパクトな外来や女性を意識したパウダールーム、や女医の職員の
アメニティを上げる病院が非常に進んでいる。(これは勉強になった事です!)
病院建築費は、東日本大震災後、東京オリンピックの建設需要の影響を受けて
増加しているし、建設業者の指名競争入札を行うと不調となる例がある。
(これは職人さんの高齢化も影響か?)
近隣では倉敷市の児島市民病院が入札3回目も不調であった。
結局共同企業体と随意契約で着工した。
自治体病院の新築を行う場合、手持ち現金を多く抱える病院事業は少なく、
多くは企業債(地域によっては過疎債)での建設となる。
もちろん起債の元本利息の返済は、一部地方交付税措置や自治体本体の
負担となり、基本はその病院での借金返済となる。(病院は企業会計)
それゆえ借金による病院建設は経営危機に直結するし、何より手持ち現金
が必要。(永康病院の手持ち現金は約10億円、これは15億ぐらいは持ちたい
との話しも!)
病院を新築するには手持ち現金をショートされず、企業債の借り入れを最小限
に、病院の建築コストを抑制する必要がある。(将来ためにも必要!)
建築コストを抑えなければならない基本設計を単純に価格で選ぶ「入札」で
行う、安い金額で落札すれば、能力の低い設計士が配置される可能性が高く、
結局建築面積が大きくな建築費が大幅に増加する傾向が過去にあった。
設計事務所は利益を上げるために建築費を増額させるインセンティブを持つ。
安い金額で基本設計を入札し、実施・詳細設計で高い建築コストの設計で
利益を回収する方式。
特にお金のかかる建物一体ヘリポートや、豪華な(吹き抜けの)待合室はいら
ない。
手持ちの現金と返済可能な起債の額を考え、病院建築に可能な投資金額を
考える。ローコスト建築を実現できる能力ある設計士に設計を依頼し、病院
側は医療が何かを意識し、過大な要求はしない、設計士は病院の考えを踏まえ
シンプルで無駄のない設計を行う、追加工事や手戻りが起きないように。
適正な利潤の中で、最も安い建設費で建築をする建設会社に工事を発注する
(最も大切なところ)
また建設会社にも工事コスト削減の提案を積極的にしてもらい、適切なものは
採用する。
病院職員もまた、財務の危機に際し、どのように行動すべきか意識改革が必要
で、できるだけ現金をためる。
病院職員や議会・地域住民も病院建築について「人任せ」にせず勉強する。
できる努力を行うことが必要。

岐阜県の下呂市立金山病院はローコスト建築として伊関先生がかかわって
います。特に東日本大震災直前で、非常に安く建築されています。

ここは「永康病院調査特別委員会」で、8月中に視察させていただきます。

結局、病院建築はどうしても従来の官庁発注の考えにとらわれやすいがゆえ、
徹底的にローコストで質の高い病院建築を考えることが必要である、という
お話し、本当に「目からウロコ」でした。

私も二期目ですし、永康病院調査特別委員会副委員長として、また詫間町の
議員として、もっと自治体病院関係を勉強する必要性を感じました。

「人任せにせず、勉強する」を肝に銘じて、切磋琢磨したいと思います。


東京で「医療・介護を考える」


東京で「医療・介護を考える」



今回で、伊関先生の研修を受けるのは、確か3回目となりました。

途中からは東京へ7名も来てくれている、と三豊市議のご紹介もあり、永康病院と

西香川病院にについてもご教示いただきました。

これについては8月7日に三豊市議会で詳細な講演会がありましたので、後日に

ご報告させていただきます。

終わって皆で東京駅 → 浜松町 → モノレール → 羽田空港 → 飛行機

高松空港の最終便で、無事帰りましたが、本当に皆勉強になった、と言える

研修となりました。


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Posted by はまぐちふどうさん at 07:48│Comments(0)視察研修
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